Mar 24, 2014

TGA2014 お問い合わせありがとうございます。そして…

毎年今頃は沢山の作品に埋れて「また、こんな梱包で…」「なんか、臭わない?」「見て見て!この絵!」「乾いてない…手についた…」なんてバカみたいにハシャギながら、ずっと過ごしてきた。ここまではいい。だけど審査を始めると一日中、夜中までその場をはなれられない。ある程度審査が進むと、そこに残っている作品達が恨めしく思えるほど、決められなくなってくる。
落としたはずなのに、気になってしょうがない。通過させたはずなのに、本当が見えてこない。上手いのに響かない。下手なのに迫ってくる。その頃になると夜中なんて話じゃない。

ファイルで審査したりする方法もあるみたいだし、こちらの負担を軽くしてでもずっと続けてきたことだから(というか、1年で1番楽しいことだから)とか、いろいろグルグル考えたけど、やっぱり中途半端になる気がして今年はおやすみさせてもらおうと決めました。

作品からもらうエネルギーは半端なものじゃありません。その一方、作品オタクの私から出て行くエネルギーも半端なくて、いつも、そろそろ決定して壁に飾って、WEB投票の準備してって頃になると、スタッフと血みどろの攻防戦が始まるくらい疲れ切ってしまいます。変なんだけど、そこまですることないんだろうけど。そりゃあ「よし、決めた!」って言って返却準備をしたダンボールを(これが綺麗な梱包ならいいけど、ツギハギダンボールで触ると毎回手を洗わなくちゃいけないくらいのシロモノだったりすると)「も一度、作品見たいから開けてくれ」と朝方まで言われ続けたら、そりゃあ険悪にもなるよね。

ある作家が「いい作品を作るからって、その作家本人がいい人間だとは限らないよ」と言っていた。実はその話には続きがあって「でもね、中途半端な作品を作る人は、確実にその作家自身も中途半端」
ありがたいことに私が直接知っている殆どの作家は、作品と一緒でヒトとしてもいいヒトが多いので、助かる。だからこそ中途半端はいけない。
そう、そして、今の私は、中途半端。気力では乗り切れない事もあると、始めて感じるはめになってる。

そこに興味がないから触れるつもりはなかったけど、耳が聞こえないヒトが作ったから、いっぱい売れたのか、いい音楽だったから、誰が作ったとか関係なく皆に受け入れられたのか。私は聞いたこともないから評価はできない。

ただ、その話をしているわけ知り顔の人が「初めからイチ音大講師が作った音楽だってわかってたら、こんなに注目もされないし、売れるわけない」と言った。「音楽の評価なんていい加減なものだよ」と。それを受けて「絵も陶器も一緒。芸術の評価なんてそんなものでしょ」と。

久しぶりに足の先から頭の先まで一気に血流が上がって行くのを感じた。2ー3年前(いや嘘、大人ぶったけど今も、)だったら「なんだとおおおおお」と叫びまくっていたところだ。
今は天使と悪魔が同居しているくだらない大人の部分もちょこっと持ち合わせているので、ぐっとこらえて、確かに、確かにそういうところもあるかもしれん。アノ誰々が描いた絵だから、とか、こんな人達が作った作品だからとか、あの大学の出身だからとか、聞かない話でもない。この関係の世界にいてもなお、悲しいかな聞く話だ。
もちろん画廊だって作家の略歴に貢献出来るようなギャラリーでありたいし、ハクをつけると言ったら聞こえが悪いのかもしれないが、個展をしたり、いろんな場所でいろんな経験をしてもらったり、絵本やグッズを出したり、作品以外のところで経験してもらう事だって仕事の一つだと思っている。でも、これは作家自身、見たもの聞いたもの触れたものが作品自体に帰ってくると思うからだ。

ただ、勘違いされると困るが、まず最初に作品ありきだ。冷静に考えればわかることだが、作品がいいと思わなければそんな情熱を作家にかけられるわけない。ぶっちゃけ経費もかかる。
つまらない作品に時間と手間とお金かけるなんて、普通に考えたってやらない。
そういうとまた、私より世慣れてる大人達は「売れる前の作家に手をつけて、売れたら自分たちが儲かるように考えて投資してるだけ」なんて、頭悪いくせに偉そうに言う人もいる。確率的にそれってどうよ? 扱ってるのは生きて意思を持った人間と作品。どんな時を一緒に過ごしたとしても、自由に居場所を選んで変えて行くことだってある。いなくなることだってある。残念だけど絵描きを辞める人もいる。別になんの約束も契約もしてるわけじゃない。束縛できない。自分の子供だって親の思い通りになんてできるはずないのに、私の言うこと素直にずっと聞くと思う?
儲かるだけなら他の仕事したほうが全然ましだよ。

まあいい。長くなりましたが、とにかくそういう部分でそういい人達と重なりたくないから、いつものように出来ないのなら、お休みするべきだと。
TOKAY GECKO AWARDは、略歴も年齢も性別も関係なく、作品だけがそこにある公募展でありたい。

他の部分では、ここまでくだらないくらい真剣になれる事がないので、この部分だけはずっとバカみたいだけどそうありたいと思います。
問い合わせをくれる作家のみなさん、本当にありがとう。こんな、いちギャラリーの有名審査員がいるわけでもない公募展の事を気にかけてくれて。
早く、みんなみたいに精一杯向き合える様に。
あーあ。本音を言うと、去年の今頃が、今までの今頃が、ダンボールと顔料となんだかそれとは違う変な臭いと、すごい量のプチプチと、不機嫌な疲れきったスタッフとの喧嘩と。全てがものすごく遠くに感じて、どんなに幸せな時間だったか。
昔見た夢の様で、ちょっぴりおセンチ。

また、会えるよね。愛しい作品達に。
どうか、素敵な作品を作り続けてください。
その時は、よろしくお願いします。


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