Feb 7, 2012

ちょっと、感じたこと。

イタリア南部カゼルタにあるサン・レウチョという町。
18世紀にカルロ3世とその息子フェルディナンド4世が絹工場を建設。産業革命より100年も前に、自分達の創意工夫で木で出来た紡績機や織機を作った。
それ以来世界一の絹織物を制作し、現在でもホワイトハウスやバッキンガム宮殿、有名ハリウッド俳優など、世界中の宮殿や高級ホテルを顧客に持ち愛されている。
現在に至るまで、ナポレオンの侵攻、第2次大戦での砲撃等、今では考えられないような過酷な歴史にさらされたこともある。
最も美しくない戦争や侵攻に翻弄されながらも、200年前からの伝統を受け継ぎながら、現在の流通にもマッチした美しい織物を世界中に届け続ける織物工場の責任者は
「ここでは200年、1度も品質を落とした事がないんです」
とにっこりと微笑んだ。それを聞いて、シンプルな言葉だけど、簡単には言えない言葉だと思った。

父であるカルロス3世の意思を受け継ぎ、フェルディナンド4世が花開かせた美しい世界は、どんな事象にも揺るぐ事なく、今も、同じように時を刻んでいる。

フェルディナンド4世の美意識と、それを形にする努力と情熱。
その工場を作った当時、世界中から評価され、取引が活発に行われるようになったため集まってくる利益を、彼は、全て工場の人たちに還元したそうだ。
まだ、領主や王様が富をなんとか独り占めしようとしていた時代にだ。

いろんな意味での「本物」って、なにがあっても、どんな時代になってもなくなる事はないんだと思う。
世界が「残したい」と思うような「本物」になれればなおさらだ。
と、ふと思った。

残らない物の方が多い世の中で、残るという強さ。
その狭間にある、気づくか気づかないかのような差は、毎日、毎時間、蓄積され広がっていく。氷山の見えてる部分と見えてない部分の様に、確実に。
と、ふと思った。

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