キンモクセイは恋のようなものかもしれない
空気の透明な高い空に油断して歩いていると
どこからか匂ってきて、たちまちに意識を盗られてしまう。
高さを失ったそれは急に現実味を帯びてしまい
いつもならぶしつけに覗き込んだりしない他人の庭先などに
首を突っ込ませたりする。
見つけてしまえばなんのことはなく、
無防備に近づくと、どちらかというと唐突に感じ取った匂いよりも
はるかに確実に薄い。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
いままでコモドドラゴンは、口中の細菌数が半端でなく、そのセイで一度噛み付いた動物を次第に必ず死に至らしめ、悠然とお召し上がりになるというのが、一般的な説だった。
違ったらしい。
非常に高度な毒線を持っていて、その毒によって死に至らしめる事が今年になってわかってしまった。
コモドドラゴンは知っていたのだ。
自分が毒を持っている事を。
コモドドラゴンは口中の細菌によって、殺したくもないのに殺していた訳ではなく、ただ、食べたかったのに死んじゃったって悲しんでいる訳でもなく、ひと噛みしただけなのに、どうしていつもさっきのそいつが時間差で転がっているのだろう?とかも、考えていなかった訳だ。
知ってたんだ。もちろん。
キンモクセイもコモドドラゴンも思っている様にはいかないものだ。
思っている様にはいかないと言えば、
やってみなくちゃわからない事もある。
食べてみないとわからない味もある。
それでも、フタを開ける前からわかってる事もある。
でもって、開けてしまったからには閉めなくてはならないのだ。
その『締め方』で次の箱が似た様な物になるのか、
努力以上のプレゼントになるのかが変わってくる。
どっちにしろ、開けたのは君だから。
ってことは、閉めるのも君だから。
その繰り返しさ。
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