ウンベルト・ジョルダーノ作、アンドレア・シェニエ(Andrea Chénier )の中の第3幕アリア、La mamma morta がすごく好きだ。時々夜中に轟音で(もちろんヘッドフォンで)聞く。しんとした静寂と暗さの中で、なぜだか音楽はひときわ際立って色を放つ気がする。変な話、キッチンの冷蔵庫のモーター音でさえそんな時間に聞こえてくると、じっと聞いていたい様な気にさせる。「しんとした」時間には「しんとしてる時の音」がある。確かに聞こえるよ「しん」って。これ、本当。
うちのお父さんはお母さんを見初めた時、同僚に「あの人とデートが出来る約束を取り持ってくれたら、今月分のお給料を全部あげる」といって頼んだそうだ。気が強いのか弱いのか。そうして、その時「あっでも、デートの時にあの人にレコードをプレゼントしたいから、その分だけは引くけど」と言った。これは、両方から別個に事情聴取したから本当の話だろう。おまけにその時の同僚もうちに遊びに来た時、その話を私にばらして父をからかっていたから。
そうして、父は見事にデートを手に入れて、レコード代を引いた一月分の給料を失って、母と、その後の人生と、かわいい私を手に入れた訳だ。安い買い物だったな。ふふ。
そう、人には歴史がある。スペシャルな出来事も哀しい何かも、他人には想像できないくらいの「いろいろなもの」があるんだ。孫娘たちよ、今は大好きなおじいちゃんでしかないその人にも、宵待草にキュンとして、儚く愛しい人を思い、眠れぬ夜を過ごした日々があるんだよ。だから、これから出逢うだろう人達の事をそんな風にみれる人になってほしい物だ。
相手の態度を左右するのは、自分の態度に他ならないんだとカウボーイも言ってる事だし。
おばあちゃんも言ってたでしょ?「自分にたいして嫌な態度をとる人がいて、どうしてだろう?とおもったら、まず、自分の態度を考え直してみて。人の態度は自分が写った鏡の様なものだから」って。
そんなに純粋には事が運ばない世の中になって来てるのかもしれないけれど、まず、それを試してみてもいいと思うよ。まず、愛してから、尊重してから。それからにしようよ、その他の事を判断するのは。甘いかもしれないけど、まあ、いいじゃん。
Feb 6, 2009
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2 comments:
『しん』って音。聞こえますよね。
普通の生活をしてると、なかなか聞こえないですけど・・・
こないだ雪が降った日は、久しぶりに聞いた気がします。
やっぱり、お父さんステキですね☆
ねえ、聞こえるよね。良かった♫
やっぱり、っていうのが不安だが以外といい奴です。
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