朝方、薬のせいでどうしても早く目が醒めるので、相変わらず窓から外を眺めている。明ける前の白い朝と、暮れる前の白い夕は１日の中でも好きな時間。
何かがこっそり今日の日を綺麗にして、手渡ししているような優しい気持ちになる。
短い時間だけれど、この時間がないと、忙しない昼間とあからさまな夜のエネルギーに負けてしまいそう 。
駐車場をはさんだお向かいに、ファミリータイプのマンションがある。
見るでもなしに「今、コーヒーが飲めたら（今は飲めない）最高だな」と、素敵な時間を過ごしていると、
多分、上の階なので安心しているのだろう。
ベランダの窓がそっと開いた。
裸ん坊の男の人（２０代？くらい）が体を前かがみにして出てきた。
おいおい、丸裸かよっ。って思って見てると、物干しに干してあるパンツを外してそのままそこで履いた。
おおおおおっ。
世の中にはそんなことをする人もいるのか！とびっくりしていると、他の洗濯物は干しっぱなしにして当たり前のように部屋に戻って行った。
・・・・・。
明ける前の優しい時間だの何だの考えている私の１日の始まりを、見ず知らずの裸ん坊が目の前でパンツを履くという手荒い所業によって、高らかに宣言してくれた。
そう、こうやってこっちの思惑がどうであろうと、夜は明け、日は暮れる。
いいじゃないかそれで。と思えた、清々しい朝。
きっと何があってもいい１日になりそうだ。
でもさ、海に浮いたリゾート・ヴィラの窓じゃないんだからさ。誰か見てるぞ。
あっ、見てないよ。全部は。遠いからそこまで見てないよ。
銀のお盆で隠してあったし。うそ。
今朝のBGMは Niia I そんな時間にいい曲です。
そんなって、パンツの方じゃないよ。朝方と夕暮れ！
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