May 9, 2009

恐るべき子供

夜の樹/トルーマン・カポーティ(A tree of night)を、ぱらぱらと。

作家っていうのは、うん、いや、自己の内面に落ちて行くタイプの人は、本当に興味深い。
言葉遊びや思想の連鎖をふざけた目線で捉える人間は好きではない。
だからといって、単純にそれこそ「口をついてでた言葉」にまみれた人も、どうかなと思う。おまけに、聞き手に聞く力が乏しく、軽々しく発した訳ではないのに、そんな風にしか捉えられない言葉というのも哀しく、吐いてなおむなしい。

20才代で書いた物がほとんどの短編集。
この人はニューヨークなのか、アラバマなのか、どっちもなのか、どっちでもなくカポーティなのか。

不思議だな。なんの思い入れもなくやっつけ仕事であっというまにグングンやらかしたものが、思いのほか評価されたり、追いかけて追いかけて突き詰めて自分さえ内的にも外的にもぐちゃぐちゃになりつつ、生み出した物がスルーされたり。

物を生み出す人達の喜びと哀れは、いつも紙一重で、それだから、私は目を離せなくなる。
客観性をどれだけ見いだして、一般受けするのか、それとも私には頭をでかいハンマーで打ち砕かれたくらいの衝撃を与えたけど、決して一般には受けないのか。

良い物を勧めるのは簡単で、わかってもらいやすい。
が、しかし、本当に良い物を勧めるのは、とても難しい。

心のなかで、広がりすぎて、口に出すと嘘っぽくなりそうで怖い。
私を通す事で作品の良さに淀みを与えてしまったらどうしようと不安になるからだ。

今までに2-3回、そんな思いに捕われる作品に出逢った。
多いのか、少ないのか。

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